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STANDARD MAGAZINE

KANTARO [LIM hair 統括ディレクター]

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同業者からではなくて、一般の人たちから必要とされることが本当の意味での喜びだと思う。(KANTARO)
美容師。
この言葉を聞いて、どんなイメージを持つだろうか。
オシャレそう?カッコ良さそう?他には?現在の日本ではコンビニよりも数が多い美容院で働く、そのすべての人が美容師と呼ばれる。今回ゲストにお招きしたKANTAROという人は、職業、美容師であることはもちろんだ。
だけどその前に、KANTAROという人であることが大前提。その言葉は、美容師としてではなく、KANTAROの言葉として紡がれる。美容業界へのたくさんの愛情とともに…。

山本雄平(以下、Y)
僕がKANTROさんを知ったのは、実は美容師としてじゃないんです。DJとしてだったかな…(笑)。
とにかく、おもしろい人だっていう観点でブログを見てた。包み隠さずおもしろいことを素直に言う人。このスタンダードマガジンは美容師、美容にだけに特化した本にしたくないって想いが当初からあったので、美容師をゲストに招くってことは考えたこともなかったけど、なぜかKANTAROさんだけはすんなりと当てはまったんです。そんなKANTAROさんには、理想の美容師像とかありますか?

KANTARO(以下、K)
うーん…美容師像と言うよりも、理想の人間像って言う表現が近いかもしれない。
誰からも愛される人って言うと甘っちょろいって感じるかもしれないけど、理路整然としていて説得力のある、ねじ伏せるんじゃなくて説き伏せることができる、自分の生き様で体現できる人間になりたい。

その上に、美容師であることが乗っかってくるものだと思うんだよね。

とはいえ、自分の場合は“美容師のKANTARO”ってまわりから見られるわけで、それを大前提として分かっていながらも、人間としてはこうありたいっていうのが先にあったりして…だからすごく迷うところではある。
だけど、美容師としていつまでにこうして、いつにはこうなっていてとか、そういう具体的なものはまったくないね。なによりも、同業者からではなくて、他業種の人たち、一般の人たちからすごいねって必要とされることが喜びかなって思う。

多くの美容師は、美容師に評価されることが美容師の価値だって思い過ぎ。

でも、本当の意味で自分たちが憧れるすごい人たちってそうじゃないよね。例えば、フラワーアーティストの東信さん。フラワーアーティストって言うより、“花師”って感じかな。あの人は、すでにフラワーアーティストの域を超えて、同業者はもちろん、そのほかの業界の人に認められている。そういう立ち位置に美容師を持ってこれたら、もっと美容師になりたいって人も増えるだろうし、美容師ってすごいなって思ってもらえるんじゃないかな。kantaro-3

千原誠(以下、C)
僕もたくさんの美容師さんにお会いしてきましたけど
KANTAROさんは“KANTAROさん”
ってのが先に来るんですよね。美容師である前に、個性と言うのか、
美容師より前にパーソナルな部分が出てきていて、すごく人としての個性を感じるんですけど、それと同時にすごく近さも感じる。

K
それって最高の褒め言葉だよ。極端な話をすると、僕は美容師じゃなくてもいいんだろうなって思う。違う職業でそうやって思ってもらえるなら、50歳過ぎてからでもそっちに移行するだろうし。
美容師という職業にもちろんプライドを持ってはいるけど、自分はそこに縛られないスタンスなのかもしれない。

C
面白いですね。美容師なのに美容師を俯瞰で見てるというか。

K
僕はまだ37歳だからこんなことを言うのはおこがましいのかもしれないけど、美容師はトレンドの世界で生きている人間だから、絶対に古くなっていくはずなんだよね。見るもの、感じるもの、その中で結果的にいいと思うものは、20歳の子たちと比べられるとぜんぜん違う。

技術的な部分は十分に通用するし磨いていけると思うけど、トレンドの部分は年を取るにつれてだんだん掴めなくなっていくんじゃないかな。少なくともそういう才能は自分にはないと思ってて。もちろん、いつまでもトレンドを掴み続けられる天才はいると思うけど、技術はすごいけどどっか古いよね…ってなってくもんだと思う。だから僕は、そういう部分は引き際があるもんだって理解してる。

C
それを自分で感じ取れるか取れないかって部分が大きいんじゃないですか。
美容院のオーナーになると、言うなら一国一城の主になるわけじゃないですか。だから、オーナーが直接クリエイションしたものに対してそこで働く人達が感じた事をフラットに言い合える環境が作れるかが大切だと思っていて。一般の組織にも言えると思いますが、それは経験や技術的な事ではなくて、あくまで「今」感じたことを互いにディスカッション出来る環境というか。
」中にはスタッフとの信頼関係で、クリエイションの部分は若い皆に任しているっていうオーナーさんもお見えになって。 逆に、まだ信頼出来ないから自ら作り続けていくって方にもお会いしました。

K
そういうのをまったく違う業界の人に見せたら、簡単に一言で“ダサい”って言ったりするんだよね。それが、業界の中で評価されるものをいいと呼ぶか、社会の中で評価されるものをいいと呼ぶかって部分だと思う。例えば、美容師のコンテストの作品(写真)を一般の人が見たら、なんなのこの変な髪型って言うかもわからん

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Y
僕自身、賞にまつわる衣装製作やディレクションをやらせてもらう機会もあるんですけど、ふと美容師本人から「オレ、なにやってんだろ。実際にこれ見てどう思う」って聞かれることもあったり、先日、初めてあるコンテストの会場にお邪魔したんですけど、その会場内には美容師しかいなくて、それにすごく違和感を感じたんですよね。

K
業界誌の掲載経験が出場条件になっている賞もあったりして、美容師の真の日本一を決める賞が何なのかが分からなくなっている部分はあるよね。
業界誌を作っている雑誌社に自分の作品を売り込む美容師が増えたり、その結果、雑誌社のほうが立場が上になってしまったり…。
誰がいい悪いということではなくて、賞自体の根本的なシステムを見直すことも必要なんじゃないかな。

すべての美容師がひとつの作品を持って勝負する。

それしかないんじゃないかと。真剣にクリエイションに向き合って、賞が取れなければ涙を流す美容師だってたくさんいる。結果それが、お客さんにも真剣に打ち込める要因にもなっていたりするんだよね。

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C
同業者に評価されることが、現場(サロンワーク)のモチベーションにつながる部分は、分かる気がするんです。
賞を取ればもちろん名誉ある事ですし、周りの見方も変わる。同じことを言っても説得力が増す。
そういうのって、業界関係なく組織を作っていく上では重要なことなのかなと。
同業者に評価されるのは、すごくモチベーションに直結しやすいと思うんです。 実際、賞を取ったから直接的にお客さんが山のように増えるわけではないと思うんです。

だけど、その過程で沢山の良いきっかけがあるというか。

であれば、もっと一般の人に直接的に評価される仕組みがあっても良いんじゃないかと思うんです。

Y
美容師に評価されることと、一般の人に評価されること。
そのちょうど間のものが生まれれば、おもしろいんじゃないかなって思うんですよね。僕自身、このスタンダードマガジンも、美容師だけに評価されたいと思ってはないですし、そういう意味で東京をはじめとしたさまざまな地域へ配りたいと思った。
そこに名古屋の美容師たちが想いや夢を乗せていいものさえ作っていけば、勝手にいろいろと広がっていくはずなんです。だから、自分たちの手で狭くしていく、幅を狭めていくことだけはしたくない。

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KANTARO(カンタロウ)/LIM hair 統括ディレクター 1975年生まれ、福岡県出身。高校卒業と同時に大阪にて美容師の道へと進み、1998年に『LIM hair』にてスタイリストデビュー。その後の活躍により、関西では「ヘアスタイリング番長」としてその名を轟かす。

 

現在は、『LIM hair』グループ全店のブランディング、教育活動がメインとなり、“LIMの影のフィクサー”としてあまり表には出てない。2006年には、8年間のロングラン構想を実現させ、満を持して東京・中目黒に進出。2009年、原宿に『LIM CODE』をオープンさせる。現在はシンガポールにも『KIZUKI+LIM』として進出し、大阪、東京、シンガポールの3都市を週ごとに移動しながら奮闘中。

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